私たちの体は、私たちが食べたもので出来ているー。こんな言葉を聞いたことがありますか?実は、毎日の食べものが自分自身の肉体や精神力を作っているとしたら、「本当に食べたいもの」を選んでいるでしょうか。

「これを食べたら太ってしまう」と過剰に不安になったり、カロリーや栄養素ばかり気にしすぎていても、まずは食べものを受け入れる体を活性化しなければ、健康改善の効果は出にくいものです。

食べることを楽しみながら、食べものの質を見極める力を「食選力」(しょくせんりょく)と呼んでいます。今回は、あふれる情報に惑わされず、結果が出る食を選ぶ力=食選力をアップする方法について解説していきます。

 

食選力を磨く方法① 食べものの背景を知る

食べものを選ぶときのポイント

まず、食選力アップに欠かすことができないのは、食べものの質を見極める視点を持つことです。では「質の良い食べもの」とはどんなものでしょう。

「質の良い食べもの」とはすなわち、「生命力の強い元気な食べもの」のことです。もちろん、体に負担をかける添加物や化学調味料などの余計なものが少ないほうがベターですが、毎回毎回食品を買うときに、ラベルの原材料表示をくまなくチェックするような厳しさを持っていると、食に対して余計にストレスになります。

安全や栄養面などの観点も大切ですが、これはダメ・あれはダメとジャッジするのではなく、まずは興味を持つという気軽さで、自分自身を作っている食べものへの意識を持つと良いでしょう。ここで、食べものを選ぶときにおすすめしたいポイントは、

 

1)その食べものが、どこでどうやって、何から作られたのか?

2)収穫・加工してから食べるまでの「時間」と「距離」

 

この2つの視点です。

 

カロリーや見た目ではわからない重要なこと

ここで、お米を例に考えてみましょう。たとえば、水も空気もきれいな環境で、太陽をたっぷりと浴び、愛情を込めてていねいに育てられたお米と、日当たりの悪い環境で片手間に育てられたお米があるとします。お茶碗に盛った、炊きたてのご飯を見ただけではこの2つの違いがわからないかもしれませんが、どちらが健康になるおいしいご飯だと思いますか?

お米だけでなく、お肉や魚、卵、乳製品なども同様です。動物たちが育った環境やエサ、ストレスの状態でその質はまったく違うものになります。先に述べた2つのご飯の量が同じであれば、計算上、カロリーは同じになります。栄養という面で比べてもほとんど差はないでしょう。

でも、中身はまったく別ものです。つまり、外見上ではわからない、その食べものが作られた背景はとても重要になります。何も考えず、ご飯を”目の前にあるもの”として捉えながら食べるのと、作ってくれた人の顔や思い、環境などの背景を知って、感謝とともに食べるのでは、おいしさの感じ方が違います。

 

おいしさの感じ方は、意識で変わる

新しい生活様式にシフトしていく中で、実際に自分で生産者に会いに行くのはなかなか難しいかもしれませんが、このようなことは自宅にいながらでも可能でしょう。

 

・販売者を通じて、間接的に情報を得る

・作ってくれた人へ感謝して食べる

・旬の食材を意識して買う

・産地のことを調べてみる

 

食べものに興味を持つと、楽しくなり、おいしく感じるはずです。こうやって食べると、食べものを受け入れる体が活性化していきます。残念ながら、こういった変化はカロリー計算のように数字に表すことができません。だからこそ、意識の持ち方で健康効果はさらにアップするし、食選力も磨かれるのです。

 

食選力を磨く方法② 食べものの「時間」と「距離」を知る

その食べものは、本当に「ヘルシー」?

たとえば、多くの人が「ヘルシー」だとイメージしやすく、なおかつ日常的に買いやすい食品のひとつに、パックに入ったサラダがあります。手軽に野菜が取れて、なおかつカロリーも低めで便利ですが、どこでどうやって作られたものかを考えたことがあるでしょうか。

まず、サラダの加工は工場で行います。工場で作ってトラックでお店に運ばれます。そして陳列され、販売されています。購入し、家に持ち帰って、やっと食べることができます。

このように、長い距離を運ばれ作ってから時間が立っているものも多いでしょう。加工品は、時間と距離が長くなると、品質を維持するためや食中毒などのリスクを防ぐために、加工の工夫を必要とします。

最近では、スーパーの野菜売り場でもカット野菜が増えています。刻む手間が省け、すぐ使えて忙しい時にはとても便利ですが、便利さと引き換えに、おいしさや栄養などを失っているものも多いのです。うまみや栄養が流失して”見た目はきれい、中身はスカスカ状態”のものに、さらに油や添加物、化学調味料が入ったドレッシングをたっぷりかけて食べていても、ほんとうにヘルシーなダイエット食と言えるでしょうか。

 

最短時間、最短距離で最大成果を得る

 

現代社会では、私たちが食べものを口にするまでに、いろいろな加工の過程を経ているのが現状です。すぐに食べられて便利なものほど、加工度が高い傾向があります。加工度が上がると栄養価も落ち、添加物など余計なものが増えがちです。

とはいえ、添加物ゼロの食生活は現実的に難しくもあります。神経質になる必要はありませんが、添加物を過剰に摂ると消化吸収の状態が悪くなり、代謝も鈍くなります。

対し、自分で素材をまるごと買ってきて、切りたてで食べるものは格別です。新鮮なものだと、シンプルな味付けで調味料が少なくてもおいしくいただくことができるでしょう。調理に多少手間がかかるかもしれませんが、食選力を磨くためにもぜひ、このような食事を増やしてみてください。

食選力を磨く方法③ 「日常食」「非日常食」の位置づけを知る

食事を2つに分ける

食に関しては特に、良し悪しで論じられがちです。食に対する意識の高さが、かえって視野を狭めることもあります。食べものを「良い」「悪い」で判断すると、とたんに自分にとっても周りの人にとっても、ストレスの材料に変わります。

食選力を磨くためには、食べものは日常的に積極的に食べるものと、嗜好品、または手抜きしたいときにラクして食べるものという位置づけをおすすめします。つまり、日常食と非日常食という考え方です。

日常食は、生活の基本食としてしっかり食べてほしいものです。細胞を作り、代謝を生み出す材料を摂取するのが食事です。そして、日常食は食べることで体の機能を鍛えることを目的とします。できるだけ、その土地の旬のものを中心に、良い素材を可能な限り加工せず、調理も味付けもシンプルに食べるのが、日常食です。

対し、非日常食は目的が異なります。食べる楽しみを満喫する豪華な外食や嗜好品、または疲れて手を抜きたいといった時の便利な食事です。加工食品を使った食事も、非日常食に入ります。言葉を変えれば、栄養バランスや添加物を気にせず、食べる楽しさを最優先する食事ということになります。

 

食事はメリハリをつけて楽しむ

普段、日常食をしっかり食べていて体の機能が高い状態であれば、たとえ非日常食で多少バランスが崩れてもさほど影響を受けません。ただし、非日常食が続きすぎないように注意してください。会食などお付き合いが重なったり、旅先で非日常食が続いてしまうこともあるでしょう。そんな時は、前後に日常食を食べることでバランスを取れば大丈夫です。

「忙しくて手を抜きたい」「食事の用意をするのが面倒くさい」という場合は、上手に便利なものを利用してもOKです。ちょっと食べたぐらいですぐに病気になるわけではありませんので、状況によって上手に活用しましょう。コンビニのお弁当や加工食品、インスタント食品、ファストフードを食べたからといってネガティブになる必要はありません。ポイントは、非日常食が続かないようにすることだけです。

 

食選力をアップする日常食の選び方

食選力のカナメは、日常食の質にあります。体の機能を高める日常食の、選び方のポイントは3つです。

1)素材

意識する点は「旬」と「鮮度」です。旬の食材は栄養価が高く、強い生命力を持っています。そして、何と言ってもおいしいです。価格が安いのも魅力です。できるだけ新鮮な状態で食べるようにしましょう。

 

2)加工と流通

例として、主食で比べてみましょう。ご飯(お米)は、稲を収穫後、脱穀精米をしたら水を加えて加熱をするだけで食べられます。ご飯は、ほとんど加工されていない自然食品と言えます。対し、パンや麺類は、小麦を収穫後、脱穀精白し、一度粉状にしてからいくつかの素材を加えて作ります。

自分で手作りすることが少ない食品のため、一般的にパンや麺類はほとんど工場で作られた加工食品です。加工の過程で、油や調味料、添加物など何かしら副素材が入ります。よって、普段パンや麺類が中心の食生活を送っている人は、自然と加工食品の比率が高くなります。ご飯中心なら、余計なものが入らない自然食品中心ということで、日常食にも大きな差が出てきます。

 

3)食べ方

「しっかりと噛めるか」が、食べ方に関わってきます。やわらかいものばかりを選んでいては、噛もうと思っても噛めません。主食の選択は、ここにも影響してきます。

ご飯は粒のまま食べる粒食です。パンや麺類は、小麦から作る粉食です。日本のパンはソフトな食感のものが好まれ、柔らかくあまり噛まなくても食べることができます。麺類にいたっては、つるつると流し込んで食べている人も多いでしょう。

しっかり咀嚼することで、体の機能が高まります。よって、噛める食材かどうかは健康改善のうえでも重要なポイントになります。このような観点からも、日常食にご飯を中心とした食事を選択することのメリットが理解できるでしょう。

その他、お肉であればひき肉よりも塊肉。野菜や果物も、大きめに切って調理することが、噛むことを促す食事づくりのポイントになります。

まとめ

食選力を磨くうえで大切なのは、食材の数でなく、質です。「1日30品目をバランスよく食べましょう」というスローガンを耳にしたことがあるかもしれませんが、現在、厚生労働省の食生活指針では実は30品目という表示はありません。おかずの品数を頑張って増やそうとすると、作る手間もコストも増えて大変ですし、食品ロスも増えかねません。

これまでよりも自宅で過ごす時間が増えた今だからこそ、頑張りすぎないシンプルリッチな食生活を送ることをおすすめします。シンプルリッチとは、シンプルな食材で、品数も多くない組み合わせを指します。これまでもダイエットや体質改善におすすめしている「ご飯と味噌汁」の組み合わせは、究極のシンプルリッチごはんと言えるでしょう。

簡単で手間いらず、さらにコストダウンで家計にも優しくなります。その分、一つひとつの食材や調味料にこだわってみてください。より、味が良く栄養価も高い、ほんとうにヘルシーでリッチな食事になります。おいしく、楽しく食事するからこそ、体の機能も高まり精神も豊かになるのです。

 

 

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