健康や美容、ダイエットのために「何を食べるか」を気にする人は多いでしょう。しかし、意外と見落とされがちなのが「食べたものがきちんと消化され、吸収できているか?」「要らないものは出せているか?」という2点です。
ほとんどの栄養素は腸で吸収されています。だからこそ、腸の状態が健康・美容・ダイエットの結果を出すためにも重要になってくるのです。どんなに良い素材を選び、バランスに気を配りながら食べていても、腸の状態が悪いと体調の改善はできません。
では、腸の状態はどうやって整えたらいいでしょうか?ここでは、腸をしっかり働かせ、腸内環境を整えていくために必要なポイントをお伝えします。
腸は多くの役割を担い、影響を与えている
あなたは「出せる人」ですか?
まず、腸の状態を整えるには「入れる」ことよりも「出す」ことを考えましょう。
そもそも、私たちの体には余計なものを出す力=排出力が備わっています。ここでいう「余計なもの」とは、主に体内の老廃物や食べものの残りかすなどを指します。余計なものはため込まず、早く出るようにしたいですよね?不要なものをしっかりと出してデトックスすると、腸の動きが変わってきます。
どれだけ食事バランスに気を遣い、体に良いものを食べているつもりでも、出すべきものがきちんと出ていないと、健康とは言えません。なぜなら、老廃物が溜まってしまうからです。
実際に「出せていない人」は、このような不調が生じやすくなります。
・疲れやすい
・太りやすい
・お腹だけがポッコリ出てくる
・肌の老化
・不眠
・腰痛、腹痛
腸内環境が乱れ不調が続くと、病気になるリスクも高まります。
何を食べても「出せる体」を目指す
物質が体内へ入ってくる際の入口は、おもに「口」です。一方、体外への排出方法は便、尿、汗など複数あります。
現代の生活環境では、添加物や薬品、環境汚染物質や有毒ミネラルなど、リスクとなるものが多くあります。これらを入れないように意識することも大切ですが、完全に避けることは不可能です。気にしすぎて神経質になると疲れるし、食べものを選ぶことが大変になってしまいます。
食べものを入れることにばかり神経質になるとストレスが増え、かえって体にもメンタルにも良くありません。まずは出すほうに意識を向けましょう。もし有害なものが体内に入ったとしても、代謝力を高めて無毒化する力を高め、排出力をアップし「出せる体」を作れば、病気のリスクは下げられます。
排出力に影響しているのは、胃腸の力です。実は、腸内環境には胃の状態が影響しています。胃の動きが悪い、胃液の分泌が少ないなど胃の状態が悪いと、腸内環境も悪くなってしまうのです。
腸は自律神経にも影響を与える
腸は、体内の化学物質の解毒を行う役割や免疫力にも作用しています。
腸内の腸管は、免疫細胞がたくさん存在していて、体内で最も大きな免疫系です。腸内環境が整うと免疫力がアップし、病気になりにくい強い体になります。腸が元気なら、たとえ病気になったとしても回復力があるため、重症化しにくく、早く復活できるというメリットがります。
また、腸は「第2の脳」ともいわれています。脳腸相関という言葉があるように、腸の状態は脳機能いに大きく影響しています。
小腸内だけでも、脊髄内とほぼ同数の約100万個の神経細胞が存在しており、脳機能や学習能力との関係、さらには認知症、精神状態、メンタル疾患との関係が深いことが解っています。
さらに、腸は自律神経系とも深く関係しています。自律神経には、体が活発に動くモードの
「交感神経」と、リラックスして休息モードの「副交感神経」があります。
食事は本来、副交感神経が優位になるはずの時間です。ところが、食事に対してまでストレスを抱えて細かいことに神経質になるのは、想像以上に体に負担をかけることになります。だからこそ食べることにはおおらかに向き合い、自分の体の力を信じながら「おいしく、楽しく」を基本に、リラックスして食べてほしいのです。
おいしく食べて、胃腸力をアップする
腸を働かせるために、お米を食べる!
腸は筋肉で出来ています。よって、運動するように毎日しっかりと腸を動かし鍛えること、そして冷やさないことが大切です。とくに、1日のうちでも体温が低く、まだあまり活動をしていない朝が重要です。朝食を摂って体のスイッチを入れることで、腸も活発に動きます。
朝食がヨーグルトやスムージー、野菜ジュースなどの流動食になっている人が増えています。しかし、これらの液体・流動食のようなものだけでは咀嚼の必要がないので、ほとんど胃腸は動きません。しかも、温度も冷たいので体を冷やすことになります。
胃腸を動かすためには、噛んで食べる食品をしっかり噛んで食べること。これが基本です。その点においても、朝には「ごはん+味噌汁」が最強コンビ。朝からお米をよく噛んで食べると胃腸が活発に動き、自立神経も刺激され、便通も改善されます。
ごはん+味噌汁=腸内環境を整える食事
胃を強くし、腸を整えるお米については「健胃整腸」の食材として古来中国の医学書にも記述があります。実際に、お米をしっかり食べると胃腸力が上がり、腸内環境が向上します。食事指導の現場で、とくに便秘が改善する人が多いのは排出力が上がった結果です。
そして、お米に雑穀を加えて食べるとさらに効果的です。お米だけで食べるよりもよく噛むようになること、食物繊維が増えることがおもな理由です。雑穀の食物繊維は、野菜等と比べて整腸作用が優れ、改善効果が高いことがわかっています。
ごはんと一緒に食べる味噌汁も、発酵食品の力で体を温め、整腸作用もあります。もし、便秘や下痢に悩んでいるのであれば、朝食に限らず普段食べているめん類やパン食を「雑穀ごはん+具だくさんの味噌汁」に変えてみることから始めてください。
腸内環境の情報を届けてくれる大事な「お便り」
今の腸内環境を知る6つのポイント
腸は、さまざまな体の状態に大きく関わっています。肌の状態や消化吸収、病気に対する免疫力、脳の機能や精神面にも深く関わっています。腸内には、善玉菌と悪玉菌が住んでいますが、動物性食品を多く摂取していると、悪玉菌が増殖し、腸内環境が崩れていきます。
自分自身の腸内環境は、毎日の「お便り(便)」が教えてくれます。チェックを日課にしましょう。体の中を通過してくる便は、体内の情報を届けてくれます。
・途中で切れないか?水っぽい、コロコロしていないか?
・バナナ2本分程度量か?
・色は、濃いめの黄色か?(または黄土色)黒っぽい、こげ茶でないか?
・いきまなくてもスルっと出てくるか?
・悪臭がないか?
・毎日、同じぐらいのタイミングで出るか?
良い便の状態は、70~80パーセントが水分です。残りは食べもののカスと腸内細菌、新地代謝の際ではがれ落ちた腸壁の細胞などになります。食べもののカスは、そのほとんどが消化されない食物繊維です。
食物繊維を多く摂ると便が出やすく、便秘の予防や改善が期待できるのはこのためです。また、善玉菌を増やして腸内環境を整える作用があるため、消化吸収力がアップし、排出力が高まります。
腸内環境を整える食物繊維の摂り方
食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があります。
・水溶性の食物繊維・・・くだもの、こんにゃく、海藻などに含まれる
・不溶性の食物繊維・・・根菜、穀類の外皮、きのこなどに含まれる
水溶性、不溶性の両方摂ることが大切ですが、整腸作用を発揮し、便のかさ増しをして便秘を改善してくれるのは、おもに不溶性の食物繊維です。
水溶性の食物繊維は、糖や脂質の吸収をコントロールしたり、余計なものを包み込んで外に出すデトックス作用が強くありません。一方、不溶性食物繊維が豊富な精製度の低いお米(玄米や分づき米)、雑穀をしっかり食べると、数日で腸内環境が変わるのが実感できるでしょう。
また、腸内細菌はビタミンの一部を作っています。腸内環境が良好だと、食事からだけでなく、体内でも栄養を生成できるので代謝も高まります。結果として、やせやすい体質になるのです。発酵食品の納豆やみそ、醤油、チーズ、ぬか漬けなどは善玉菌を増やし、悪玉菌を排除する作用があります。
便秘 or下痢で困ったときの対処法
便秘は、腸機能の低下からきています。腸はぜんどう運動といって、ぐいぐい動いて食べたものを排出するために体外に押し出そうとする動きをします。この動きが鈍くなっていることが、便秘の原因になっています。
・食べる量が少ない
・食事時間が不規則(自律神経の乱れ)
・胃腸の筋力と腹筋が低下している
この3つに心あたりはありませんか?
また、便秘の原因として見落とされがちなのが、胃の問題と早食いです。消化不良で未消化物が腸に来ると、腸内環境が悪化するので要注意です。便秘改善には、穀物由来の食物繊維がもっとも効果的です。
また、下痢がひどい場合も便秘と同じようなことが原因になっています。体質によって、便秘になるのか、下痢になるのかに分かれます。どちらにせよ、腸が正しく動いていない証拠です。下痢がひどい場合、1週刊から10日ほど、集中してごはんを食べてみてください。症状が改善しやすくなります。さらに、脂質と動物性たんぱく質を減らしましょう。
まとめ
どれだけ健康やダイエットの結果を出したくても、腸内環境が変わらないままに食べ方だけを変えただけでは、なかなか改善しません。
まずは、腸の中をきれいにお掃除しましょう。集中的にデトックスに取り組みたい場合は、若い玄米+雑穀、そして味噌汁を3食10日間摂ることをおすすめしています。これで、腸内環境の変化が感じられるはずです。
もともと日本人は穀物をたくさん摂っていたので、腸内環境が良かったはずです。それなのに、年々大腸がんが急増しているのは、何より食事の変化が原因として考えられます。腸内環境を整えたい時は、まず食事内容と食べ方を見直しましょう。胃腸が喜ぶ生活を心がけてください。
食べることに関するさまざまな思い込みを手離すと、何歳からでも楽しく元気に人生を切り開くことができる!
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