炭水化物の中でも、カロリー燃焼しやすい食材はお米(ごはん)です。ごはんを中心とした食事にするだけで、体の燃焼力がアップすることはご存じでしょうか?

 

さらに、ごはんを燃えやすい食材にするには、お米に雑穀を混ぜて炊く「雑穀ごはん」がおすすめです。なぜなら、雑穀には現代の食生活に不足しがちな栄養分が豊富に含まれているだけでなく、機能性や薬効が期待でき、私たち現代人のさまざまな健康問題の解決に役立つ優秀な食材だからです。

 

今回は「現代人の救世主」ともいえる食材の雑穀について詳しくお伝えしていきます。

 

雑穀が現代人の健康問題の解決に役立つ理由

そもそも、雑穀って何を指すの?

 

雑穀とは、粒が小さいイネ科の食用植物のことを指します。米、小麦をのぞく穀類の総称で、ひえやあわ、きびなど多くの種類があります。近年では、雑穀の解釈が拡大しイネ科大粒系のもろこし、大麦やハト麦、ヒユ科のアマランサスなども含まれるようになってきました。

 

雑穀の歴史は古く、日本では縄文時代のころから栽培されているといわれています。昔は主食として食べられていたとのことですが、その後稲作の発達などにより、主食の座は白米へと移りました。ですが日本人の歴史から考えれば、比較的最近まで人々は米だけではなく、雑穀を主食としてきたことが解っています。

 

雑穀に含まれる豊富な栄養素

雑穀ごはんの栄養素と効果をまとめると、以下の6点があります。

1)着火剤となるビタミン、ミネラルが豊富・・・燃焼力、代謝力アップ

2)整腸作用の強い食物繊維が豊富・・・腸内環境、デトックス力アップ

3)ポリフェノールや機能性成分が含まれ、健康改善効果が期待できる

4)種類豊富で、目的に合わせたい使い方ができ、味や食感の変化を楽しめる

5)つぶつぶ感があり、自然と噛む回数(咀嚼)が増える

6)食材そのものの生命力が強い

 

雑穀は、やせた土壌や気象条件が厳しくてもたくましく育ちます。そんな条件で育つからこそ生命力が強く、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養価が非常に高い食材といえます。

 

なぜ、雑穀はダイエットに適した食材なのか

 

たとえば、炭水化物がカロリーを燃焼する「燃料」だとすれば、ビタミンやミネラルはカロリーを燃やす「着火剤」といえます。燃焼させるには、着火剤がなければ火がつきませんが、そもそも燃料がなければ勢いよく燃えません。

 

燃料である炭水化物を控えると、体内に着火剤(ビタミン・ミネラル)があっても燃焼しにくくなってしまいます。良かれと思ってごはん抜きダイエットをすればするほど、逆にやせにくく、燃費の悪い体になってしまうのはこのためです。お米は最強のダイエット食といえるのは、栄養学的観点からも証明できることです。さらに雑穀は、その両方を兼ね備えているので、燃焼ボディを作るのにうってつけなのです。

 

雑穀は単品でも楽しめますが、目的に応じてブレンドすることもできます。たとえば、それぞれ効能が異なる雑穀をブレンドすれば、健康にも美容にも働きかけることが期待できます。

 

おいしくて体にも良い雑穀の選び方

「雑穀が苦手」な人にまず見直してもらいたいこと

 

ただ、雑穀ならばどれを買っても同じというわけではありません。品質によっておいしさも効果も大きな違いがあります。もし、これまでに雑穀を食べたことがあって、

 

「やっぱり白米がおいしい」

「ごはんがパサつくし、雑穀の匂いが気になる」

「毎日食べると飽きる」

「自分は好きだけど、家族が嫌がる」

 

と感じたことがあるならば、もしかすると質の良くない雑穀を選んでしまった可能性があります。お米と同じように、雑穀にもさまざまな品種があり、品質もまちまちなので、何を選ぶかでおいしさも効果も大きく変わってきます。

 

ほとんどの人が知らない、本物の国産雑穀の見分け方

雑穀は、品質・安全性・おいしさの面でも外国産より国産をおすすめしたいのですが、実は流通している雑穀はほとんどが輸入品です。総流通量のうち、国産雑穀は流通量の約9パーセントしかないのが現状です。

 

しかも、現在の表示方法では輸入品か国産品かの見分けがわかりにくくなっています。輸入品であっても、数種の雑穀を混ぜると加工食品扱いになり、加工地=産地となるため「国産」と表示されます。原産地表示は必要なくなるのです。

 

純国産の雑穀を選ぶひとつの目安として、「〇〇県産」と、生産県が書いてあるものは国産と判断してもよいでしょう。ちなみに、昔から雑穀の栽培が盛んで技術も進んでおり、「日本一の雑穀どころ」といわれるのは、岩手県です。

 

今日から雑穀選びのプロ!新鮮でおいしい雑穀の選び方

 

雑穀の栄養価と味を大きく左右するのは、収穫度の扱い方です。とくに鮮度管理が重要になります。雑穀はお米とは違い、生産年度の表示義務がないため、いつ収穫したものかが表示されていません。さらに、雑穀はとても酸化しやすいという性質があります。

 

鮮度が落ち、酸化すると、食感や味が悪くなり、おいしくないうえに栄養価も落ちるので効果も出にくくなります。収穫後はできるだけ酸素をシャットアウトし、紫外線を避けて温度を管理することで劣化を防ぐことができます。私たちが、生産・流通現場の管理状況を確認することは難しいですが、店頭で販売している雑穀の見た目で、ある程度品質を判断することができます。

 

ここで、質がよくおいしい雑穀の3つのチェックポイントをお伝えします。

 

・粒の表面がザラザラしたり、色がはげていないもの

・袋の底をチェックしたとき、欠けたり割れたりした粒がないもの

・雑穀を水に入れたとき、浮かずに沈むもの(浮くのは鮮度が落ちて乾燥しているから)

 

ひと手間でもっとおいしくなる雑穀の炊き方

 

鮮度のいい雑穀は、炊いているときの香りがよく、ふっくらとして甘みがあります。この、味と食感の差は冷めたときによりわかるでしょう。

 

食べたときにボソボソとする雑穀は鮮度が落ちている可能性が高いです。「うちの子どもは雑穀ごはんを嫌うんです」というご相談を受けることもありますが、子どもは味の差に敏感なので、鮮度の良い雑穀なら喜んで食べてくれるかもしれません。

 

また、雑穀の効果をより実感するためには、お米に混ぜる雑穀の量も大事です。目安としては、白米1合に対し、大さじ1~3杯(約10~30グラム)と考えてください。ただし、「体調を整えたい」「ツヤ肌になりたい」「ダイエットしたい」などの目的がある場合は、目安に限らず多めに入れるといいでしょう。

 

鮮度の良い雑穀なら、お米と雑穀の割合を半々にしてもおいしく食べられます。食べる頻度と目的によって、楽しみながら混ぜる量を調整してみてください。また、雑穀ごはんを炊くときは、ひとつまみの塩とオリーブ油を小さじ1ほど入れると、風味やうまみが増してさらにおいしくなります。

 

 

 

さまざまな雑穀の種類と食べ方の注意点

玄米を食べるときに注意すること

 

「健康のために」という理由から、白米を食べず玄米を食べる人が増えています。確かに、玄米の栄養価の高さは魅力的ですが、玄米中心の食事が必ずしも良い状態ではないケースがよく見受けられます。とくに肌が乾燥しがちで血色が悪い、くすんで透明感がない、貧血気味、疲れやすい・・・という傾向が目立ちます。

 

健康情報でもあまり伝えられていないことですが、実は玄米は消化が悪く、吸収されにくいという欠点があります。以下に該当する方は、とくに玄米の食べ方に気をつけたほうが良いでしょう。

 

・胃腸が弱い人

・吸収力が弱っている人

・高齢者

・6歳以下の子ども

・貧血や骨粗しょう症が疑われる人

 

目的別・玄米と雑穀ごはんの食べ分け方

 

玄米に含まれるフィチン酸や発芽抑制因子(アブシジン酸)などは、摂りすぎるとかえって健康リスクも心配されます。フィチン酸はデトックス力が高く、体内の有害金属を排出してくれる一方で、体に必要なミネラルまで吸収し、外に出してしまうことが懸念されています。よって、目的によって主食を食べ分けることがおすすめです。

 

たとえば「デトックスしたいときには玄米」「栄養をしっかり摂って代謝をあげたいときには雑穀ごはん」という考え方も可能です。日常的に食べるには、雑穀ごはんをおすすめします。玄米を食べるときは5分づきから7分づきの状態のものに雑穀をプラスすると、さらにしっかり栄養を摂ることができます。

 

雑穀や玄米など、毎日食べる主食は食感と味の好みも重要です。おいしくないと感じたら続けることもできません。もしおいしくないと感じた場合、選んでいる商品の品質が良くないか、体に合っていない可能性があります。ストレスを感じながら食べるのはかえって体にも良くないので見直してみましょう。

 

さまざまな雑穀の種類と栄養価の特徴

 

最後に、いくつかおすすめする雑穀の種類と特徴について触れておきます。栄養価もそれぞれ特徴があるので、目的に合わせていくつかブレンドしてみるのもいいでしょう。

 

おすすめ雑穀①あわ ・・・ストレス抵抗力を強化

パントテン酸がとくに多く、ストレスに対する抵抗力を強化してくれます。ビタミンE、B1、B6、ナイアシン、カリウム、鉄、亜鉛を多く含みます。

 

おすすめ雑穀②いなきび ・・・コレステロール対策におすすめ

ビタミンB1、食物繊維、亜鉛、鉄、マグネシウムが豊富です。さらにコレステロール値を下げるナイアシンも含みます。

 

おすすめ雑穀③ひえ ・・・冷え対策におすすめ

名前は「冷え」に強いことに由来しています。ひえのたんぱく質は、血中の善玉コレステロールを高めてくれます。ビタミンB6、ナイアシン、カリウム、亜鉛、パントテン酸などを含有。

 

おすすめ雑穀④大麦 ・・・便秘改善におすすめ

食物繊維、とくにβグルカンの含有量が多いのが特徴です。精麦した大麦を丸麦、丸麦を蒸して押しつぶし、食べやすくしたものを押し麦と呼びます。加工していない丸麦がおすすめで、強力な整腸作用で免疫力アップが期待できます。

 

おすすめ雑穀⑤はとむぎ ・・・美肌効果

新陳代謝の促進、利尿作用、解毒作用による美肌効果が望めます。たんぱく質が豊富で、アミノ酸バランスにすぐれ、ビタミンB2は白米の2倍。

 

おすすめ雑穀⑥たかきび ・・・燃焼力アップ

ビタミンB1、B6、亜鉛、ナイアシンが豊富です。マグネシウムやポリフェノールも多く、燃焼力アップ効果が期待できます。

 

おすすめ雑穀⑦そばの実 ・・・心臓や血管を強化

毛細血管を強化するルチンのほか、カルシウムやマグネシウム、ビタミンB2を含有します。高血圧の改善や予防、コラーゲンの生成にも役立ちます。

 

おすすめ雑穀⑧黒米 ・・・抗酸化作用が高い

黒色の種皮にはポリフェノールの一種、アントシアニンが豊富に含まれ、血液をサラサラにしてくれます。食物繊維、鉄、マグネシウムも多く含有。抗酸化作用に優れていますが、胃腸の弱い人は控えめにしてください。

 

 

まとめ

 

雑穀は、それぞれ特徴を持っています。太古の昔から続く歴史、栄養的な特徴、フィトケミカル(植物に含まれる天然の機能性成分)を含む、抗酸化成分の力、薬膳的な機能性などがあり、とても奥深い魅力がある食材です。

 

普段の食事で日常的に雑穀を食べていると、摂取できる栄養価に大きな差が出ます。これまで白米だけのごはんを食べていた人が、そこに雑穀を少し混ぜて食べる習慣をつけるだけで、美容面でも健康面でも10年後、20年後が大きく変わってくるでしょう。

 

毎日の食事に、ほんのわずかに加えた雑穀が、私たちの将来に大きくプラスに働いてくれます。雑穀は、コストパフォーマンスにも大変優れた天然のサプリメントなのです。

 

 

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